インタビュー

「自分の生き方とリンクした仕事がしたい」 株式会社ライト商会 大林芳子さん

ASHIYA RESUME ロールモデルを見つけるインタビュー

新たな一歩を踏み出した女性たちに、事業を立ち上げたきっかけや継続する上での課題などをお聞きしました。
新型コロナウイルスの感染状況に伴い、遠隔(オンライン)で取材しています。

ご紹介

大林さんは大学卒業後、出版社や商社等での勤務を経て、36歳の時に英国の大学院に進学。
帰国後は英会話学校、外資系製薬会社、国立大学にて勤務。
2020年3月、50歳で株式会社ライト商会を立ちあげ、同年4月より住居や店舗の賃貸・売買の仲介、不動産投資相談などの不動産業に加えて、外国人の住まい探しをサポートする「芦屋ライト不動産」を運営されています。

穏やかな表情と柔らかい語り口で安心感と親しみやすさを感じさせる大林さん。
ASHIYA RESUME salon06(2020年12月開催)でもお話しいただきました。

心の声に従って行動するとなりたい自分に出会える


2007年大学院の修士論文を書き終えた直後の記念写真

外国人向けのサービスも提供する不動産ビジネスを始めましたが、初めから英語が堪能だったわけではありません。
英語を習得できたのは、英文科を卒業したにも関わらず会社の実務では全く歯が立たなかったことがきっかけでした。
十分な英語力が自分に無いことを実感してすぐに、仕事に必要なスキルを身につけるため、また、その仕事のチャンスを与えてくださった方々の期待に応えるために、勤務時間外に必死で英語の勉強に取り組みました。
そのとき手に取った1冊の洋書が人生を大きく変えることになりました。

その作者に会うために訪れたアメリカで、『クリエイティブ・ライティング』という言葉に出会いました。(※クリエイティブ・ライティングとは、ここでは小説の書き方を学ぶ学問を指します)
これを学んでみたいという思いが高まり、36歳で仕事を辞め、イギリスの大学院へ留学しました。
周囲の人々の心配とはうらはらに、私自身には不安は一切ありませんでした。大好きな英文学の本場であり学生時代からあこがれていたイギリスで学び過ごすことが人生にとって悪いはずがない。
成長しないはずがない、何も得られないはずがないという心の声に従って行動しました。

このとき身につけた英語や海外生活の経験がまさに今の仕事に繋がっています。
学びや挑戦は自身の成長や世界の広がりになり、なりたい自分に出会うための力になるということを身をもって知った経験でした。
それが現在も続けている挑戦への原動力になっていると思います。

自分の生き方や在り方と仕事がリンクしているか

何度も転職し、様々な組織で仕事をする機会に恵まれました。
それぞれ、やりがいもあり、人とのつながりも増え、学びと経験を得ることができる環境に満足していましたが、どこかに「これでいいのだろうか」という思いがありました。

企業理念やサービスに共感しては就職し、意欲的に業務に取り組んできたはずなのに、ふとした時によぎる違和感がある。
組織の考える豊かさと、自分自身の考える豊かさとの違いに思いをはせる瞬間がある。
組織の目標と自分自身の目指すものの乖離に疑問を持つ瞬間がある。

ワーク・ライフ・バランスという言葉がありますが、ワークとライフを別のものとして考えるのではなく、生き方や価値観と仕事がつながっている働き方がしたいという思いが次第に増していきました。
その頃からいつか自分で何かをやってみたいという気持ちが芽生えていたのだと思います。

誰かの困りごとを解決するのがビジネス

いつかは自分で事業をと思いながらまだ会社で働いていた頃、芦屋の創業塾に参加し「ビジネスとは誰かの困りごとを解決することである」という大切なことを学びました。
前職は、大学で外国人研究者や留学生の住宅等に関する業務を担当していたのですが、外国人にとって日本に移り住むことは大変なのだと知りました。
日本で家を借りるときには、家具・家電もそろえなければならない。
家電製品の説明書は日本語でしか書かれていない。
電気・ガス・水道は、それぞれ日本語で申込をしなければならない。
役所の手続き、ゴミの分別、郵便物の仕分けなど、慣れない日本語で彼らが来日してすぐに直面しなければならない事柄は多い。
ここには取り組むべき「困りごと」があるのではないかと思い、私はこの「困りごと」を解決することを仕事にしようと決めました。
仕事を辞めて不動産業の開業に必要な宅地建物取引士の資格取得の勉強を始めたのは、49歳のときでした。

起業を選んだのはずっと働き続けたいから

資格取得後、外国人を対象とした不動産ビジネスを行う会社に就職することも考えました。
でも、いつか起業したいという思いを実現させることができるのは今だとも考えました。
定年退職してリタイアする生き方よりも、ずっと働き続けたいとも思いました。
また、課題を解決するということと採算性との両立にどこまで取り組めるのかを自分自身の会社で試してみたいという気持ちもありました。
そこで起業することを選びました。
不動産業の経験が無く不安はありましたが、私にとって大事なのは生き方と働き方をリンクさせながら長く働き続けること。成功も失敗もやってみないと分からない、だからこそやってみたいという気持ちでした。

外国の方の日本での暮らし全般をサポートするワンストップサービスを

実はライト商会立ち上げ当初の事業目的である「外国人の住まい探しのサポート」サービスは、このコロナ禍で残念ながらまだ提供出来ていません。(2021年2月時点)
現在は一般の不動産業を行いながら、次の展開に向けて準備をしているところです。

外国の方へは、単に住む場所を探すお手伝いをするだけではなく、必要に応じて日本での生活をスムーズに始めるための補助を提供します。
日本での生活開始に必要な家具家電等の手配やリロケーションに伴う各種手続き等のサポートを整え、将来はワンストップサービスを提供したいと考えています。

これらは英国での留学経験と前職での実体験が元になっています。
ちょっとしたサポートがあるだけで、文化的背景の異なる人たちが平和に生活することができるのではないか。
そうすれば「日本に暮らしてよかったな」と、外国人も日本人も思えるようになり、国際交流がさらに促されるのではないか。
その実現のために私にできることは何か、と日々考えながら準備を進めています。

ASHIYA RESUMEとの出会いで起業へ向かってステップアップ出来た

ASHIYARESUME schoolに参加

資格を取得し、起業に向けて必要な免許取得に取り組んでいた時期に、芦屋市の広報誌で『ASHIYA RESUME』を知りました。
起業前の4か月間に開催された『ASHIYA RESUME』のほぼすべてのイベントに参加しましたが、起業に役立つ知識やスキルを得ることができただけではなく、様々な仕事のあり方や多様な考え方を講師や他の参加者の皆さんから身近に感じることができたことは大きな収穫でした。
『ASHIYA RESUME』との出会いのおかげで、今の私があるのだと思います。

これから起業する女性へのメッセージ

2019年、起業前に参加したASHIYARESUME salonで自己紹介する様子

「学びなおす」ということが必要な場合が女性にはあるかもしれないと思っています。
というのも、少し前までは、例えば、女性がお金について話すことははしたないとか、人前で意見を言うなんてしとやかさに欠けるといった女性観が日本社会にあったからです。
でも、言うまでもなく、起業するためにはお金の知識は必要であり、ビジネスに込めた思いは伝えなければ伝わりません。
事業を促進するために国の補助を受けるには、自分の思いを力強く伝えるスキルが必要だったりもします。
商工会の創業塾やASHIYA RESUMEのイベントを利用すれば、体系的に起業に必要な知識やスキルを学ぶことができます。一緒に学ぶ仲間がいることも励みになります。

あとは「やってみなければ分からない」。
考えすぎていては何も始まらない。
もし思い通りに物事が進まなくても、「ああ、この方法はダメなのだな」と学ぶことができます。
学んで、あきらめずに別の方法を考え、挑戦する、その過程が起業の面白さではないでしょうか。
大人になって学ぶこと、挑戦することは勇気のいることです。
ですが、そのちょっとした勇気こそが自分の生き方を大きく変えてくれるのかもしれません。

 

 

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ASHIYA RESUME ロールモデルを見つけるインタビュー

 

新たな一歩を踏み出した女性たちに、事業を立ち上げたきっかけや継続する上での課題などをお聞きしました。 新型コロナウイルスの感染状況に伴い、遠隔(オンライン)で取材しています。

写真提供:インタビュー対象の方

取材日時:2020年12月~2021年1月

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