インタビュー

“伴走型支援”で芦屋の事業者をサポート│芦屋市商工会

ASHIYA RESUME 施設紹介インタビュー
芦屋を拠点に女性たちのやりたい働き方や暮らし方が実現できるよう、一緒に考え応援してくれる施設をご紹介するインタビュー。

阪神芦屋駅から芦屋川沿いに北へ徒歩5分のところにある芦屋市商工会
芦屋市の地域活性化につながる地域振興や市内事業所の経営支援を行っています。

「商工会ってどんなところ?」「どんなサービスがあるの?」「どういうときに利用したらいい?」「実際の利用方法は?」など、女性にとって敷居が高いと思われがちな商工会について、芦屋市商工会の事務局長 古井伸英さんと主査 西畑裕史さんにお話をお聞きしました。

(ご紹介)

商工会とは、地域の事業者が会員となり、ビジネスやまちづくりのために活動をおこなう経済団体です。

芦屋市商工会は、芦屋市の地域活性化につながる地域振興や市内事業所の経営支援を主として活動しています。支援内容は多岐にわたり、創業から事業の継続も含め、事業のことで困ったときにすぐ相談できる窓口としてこれまでも多くの事業サポートを行ってきました。2019年には施設内にコワーキングスペースが併設され、手厚いサポートが受けられるだけでなく利用者同士の交流も深まる場所となっています。

商工会ってどんなところ?

 ◆ ASHIYA RESUME事務局:商工会とはどのような事業を行われていますか?

事業としては、「起業」「経営」「資金調達」「販路開拓」「労災・雇用」「補助金」についての相談・サポートをはじめ、「イベント」を通じて学びの場や「人脈作り」の場を提供したりしています。

また、会員・非会員を問わず使えるサービスと会員限定のサービスがあります。
入会していただくと、同業・異業種の交流機会につながり、市内の事業所間のネットワークが広がるので、こういった点に魅力を感じて入会される方も多いのが特徴です。

 

◆ ASHIYA RESUME事務局:どのような方が利用されていますか?女性の割合などは?

現在芦屋市商工会員は1050社、うち約280社の代表者が女性(26%)です。(2023年3月現在)
サービス業、飲食業、製造業、士業など業種も様々です。

非会員の利用も含め、ひと月で延べ人数250~300名様からの相談をお受けしております。

 

◆ ASHIYA RESUME事務局:商工会は会員以外の事業者は利用できないですよね?

そんなことはありません。非会員の方でも事業相談を受けていただけます。
開業しようかな、と思ったらまず商工会に相談していただきたいです。
相談は無料で受けることができますが、時期が来たら入会のご案内はさせていただくようにしています。
事業の支援だけでなく、人脈の広がりや交流なども含め、商工会をもっと有効活用していただければと思います。

 

創業・起業をスタートする前の段階にこそ相談に来てほしい

◆ ASHIYA RESUME事務局:(前の回答を受けて)商工会というとすでに事業を行っている人向けの施設というイメージでした

開業しようと少しでも思ったら、まず気軽に相談に来ていただきたいと考えています。
事業内容が決まっていない状態でも、まだ頭の中でぼんやりと考えているだけでも構いません。
一人で考える時間も大事ですが、話をお聞きしながら頭の中にある情報や想いを整理するのが我々の仕事です。

 

事業をスタートするまでの準備期間が、一番大切です。

 

事業を始める前であれば、資金計画をはじめ、一緒にマーケティングや広報などの戦略を考えることができます。そうした相談を経て、準備が整った状態で事業のスタートを切れるようサポートします。しっかり準備した上でスタートできたら、事業の継続に注力してもらえるからです。

 

しかし事業を継続していく中で新たな課題や悩みにぶつかることもあると思います。その時も「こんなことで困っている」と商工会にご相談いただければ、しっかりとサポートをさせていただきます。
商工会は、事業経営のあらゆる場面で支援できる体制になっています。

 

事業をスタートして、行き詰まった状況になってからご相談いただくケースもありますが、日々営業しながら立て直すのは大変です。

 

また公的融資や補助金・助成金の申請手続きについても、創業時や起業初期など段階によって使える・使えないものがありますので、ぜひうまく活用していただきたいと思います。

商工会には様々なチラシが所狭しと並んでいます

 

◆ ASHIYA RESUME事務局:例えば、ASHIYA RESUMEの参加者にとって、まず利用するかもしれないのは「起業相談」だと思うのですが、どういうサービスや支援を受けることになりますか?

まずは、個別相談をお申込みいただければと思います。オンライン相談窓口も開設しています。

 

最初にお聞きするのは、その方が考えている事業の‟規模感”です。
どのぐらいの売上や利益を考えているのか、店舗なら大きさやどのような展開を思い描いているのかをお聞きします。
事業内容などはその次です。
‟規模感”をお聞きする理由は、目指す事業内容や目標の規模に合わせた起業準備はそれぞれ違うため、必要な支援の内容や提供する情報もまた違うからです。

 

多くの場合、相談に来られた方が頭の中で考えていることを、まずは事業計画に落とし込む作業を一緒に行います。
必要に応じて、ホームページや広報、チラシなど、その道のプロである専門家派遣を利用するなど、他の支援機関とも連携しており、サポート体制は充実しています。

 

また、商工会には数々の相談実績があり、全国各地さまざまな功・失敗の事例が情報として揃っていますので、様々なケースに対応可能です。

 

特に女性の起業の特徴としては、生活に根ざした分野が多く、事業のアイディアはあるものの、それをどのように事業化するかを具体的にしていくサポートが求められます。
「指導」というより「伴走型」の支援でしょうか。

 

事業の立ち上げから、軌道に乗るまでだけではなく、ステップアップを考えたり課題にぶつかってアドバイスや相談が必要なシチュエーションが出てくるはずです。
情報収集の『アンテナ』として商工会を上手く使っていただきたいですね。

 

◆ ASHIYA RESUME事務局:芦屋という場所の特徴はありますか?

女性が社長を務める企業の割合が全国での比率は約8%なのですが、芦屋市に限って言えば、20%近くを占めています。

 

芦屋という場所は、このASHIYA RESUMEという取り組みがあることもそうですし、女性が事業を行うことへの文化が根付いており、自然と影響し合い感化される環境で、ビジネスや活動など何かを自らの手で始める資質のある女性が多いのかなという印象です。

 

交流の輪が広がるコワーキングスペース

◆ ASHIYA RESUME事務局:芦屋市商工会にはコワーキングスペースが併設されていますね

コワーキングスペースの月額利用者のみなさん。話に花が咲いていました。※撮影の時だけマスクを外していただいています

 

コワーキングスペースを併設した背景には、商工会を知っていただく機会を増やしたいという思いがありました。

 

「働き方改革」など政府の後押しがあり、「副業」が多くの会社で解禁されるなど、働き方の多様化が進んだことから、フリーランスや副業を始める人は年々増えています。コワーキングスペースをきっかけに、商工会の取り組みを知っていただき、人が集まるきっかけになればいいなと。

 

実際にコワーキングスペースと商工会事務局はドアを挟んだ位置にあり、利用者と商工会職員の距離が近く、気軽に話しかけやすい雰囲気になっていると思います。
芦屋市商工会では、コワーキングスペースがきっかけで商工会に加入された方もいらっしゃいました。

 

コワーキング会員は、16名で、うち8名が女性です。(2023年3月現在)

 

コワーキングスペースとは、「Co(共同の、共同で)」と「Working(仕事をする、働く)」を組み合わせた造語です。
仕事場や単なる話し相手を確保することが狙いではなく、刺激し合ったり、業種を超えた人脈を広げたり、あるいは独りではこなせない仕事に他の利用者と協働することの “相乗効果”を目指す取り組みなのです。

 

その事業で幸せになる人を増やしましょうと伝えています

◆ ASHIYA RESUME事務局:ASHIYARESUMEに集まる女性の起業家や個人事業主は「価格設定」で悩まれるケースが多いようです

コストや利益を考えずに自分の感覚や周囲の同業他社と比較して価格設定を行うと、最初のうちは良くても、2年3年と続けていくと、なかなか利益が出ない、自分自身が疲弊してしまう、このままでは長く続けていけないという状況になってしまいます。

 

これは特にフリーランス、個人事業主など1人でビジネスをしている人に多く見られます。
または、ビジネス経験がない方なども同様にこのような状況に陥りやすいです。

 

こういう場合は、それは「ビジネスモデル」自体が間違っている、ということかもしれません。
つまり、やり方を変える必要があるということ。
それが価格なのか、広報活動なのかを事例を参考にしながら一緒に考えるのが商工会の役目。

 

事業とはそのサービスを受けることで幸せになる人を増やすこと。
そして働く人たちの幸せにつながるものであるはずです。

 

無理なく、しっかり利益を生み出しながら、お客様に喜んでいただけるサービスを適正な価格で提供し、事業者・お客様の両方が幸せになる事業を続けていってもらいたいと思います。

 

支援は職員だけで行うものではなく、事業者と一緒に考えることを大切にしています。
その方が大切にしていることを大切にしながら、コミュニケーションを取り、指導するのではなく、伴走するという姿勢で今後も支援を行っていきたいと思います。

 

芦屋市商工会|https://www.ashiya-net.or.jp/

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