インタビュー

「選択するセンスを身につけることが幸せなキャリアの第一歩」 キャリアコンサルタント 幟建由佳さん

ASHIYA RESUME ロールモデルを見つけるインタビュー

芦屋を拠点に活動をする女性たちのさまざまな暮らし方や働き方についてお聞きするロールモデルインタビュー。

今回は、キャリアコンサルタントであり、株式会社mapBの取締役としてワーキングスペース「work and place」の運営や起業家へのビジネスサポートを行っている幟建由佳さんに、活動を行うことになったきっかけや、自身のキャリア観、チャンスをつかむ方法についてお話しいただきました。

 

ご紹介

フリーランスのキャリアコンサルタントの傍ら、株式会社mapBにてワーキングスペース「work and place」の運営に携わっている幟建由佳さん。就職活動の際に、職業選択が人の幸福度を左右しているのではないかと疑問を抱いたことから人材派遣会社に入社しました。キャリアが行き交う現場で、スキルの本質があれば幸せなキャリアチェンジができることを発見。自身の働き方とキャリアを見つめ直すために退職し、キャリアコンサルタントの資格を取得します。何もないところからフリーランスのキャリアコンサルタントとして仕事をつくり上げ、独自に道を切り開いてきました。現在は、キャリアコンサルタントの経験を生かしながら起業家へのビジネスサポートも行っています。

働き方のミスマッチに疑問を感じたのが始まり

就職活動をしていた当時、女性は結婚や出産後は、退職か雇用形態切り替えという考え方が主流で、かつ30代半ば以降の再就職は厳しいという風潮が色濃く残っている時代でした。一方、男性は定年を迎える60歳まで仕事をし続けるのが当然で、男女に関わらず「しんどい、つらい」と言いながら仕事をし続けるのは不幸せだと感じていました。職業選択は人の幸福度に必ず影響があるはずで、現場でミスマッチが起きているのは何か課題があるのではないかと思い、当時日本においても需要が広がり始めていた人材派遣の会社に就職しました。

 

人を派遣する時に、営業職の人を事務職にマッチングしたり、経理の人を販売にしたり、キャリアチェンジをよく行っていました。派遣先では即戦力が欲しいので違う職種はあまり歓迎されませんが、意外にキャリア人事は視点を変えるだけでできてしまうのです。スキルの本質があれば何にでも転用はできるし、キャリアを柔軟につくっていけるということを体感しました。キャリアを変えずに無理やりとどまり続ける必要はないということが見えたのです。

 

特に女性はライフイベントによって労働条件がガラリと変わる傾向があります。結婚、出産、転勤、離婚、介護などで働き方や優先順位が変わる様子を見てきました。改めて、状況に合わせた働き方が大切で、自分のキャリアや仕事の探し方を幅広い視点で見た方が可能性は広がるのだなと思いました。そして、これからは既存の職業に人をマッチングするのではなく、人から仕事をつくり出し、マッチングさせにいくということがキャリア形成において重要だと感じました。就活のときに疑問に感じた働き方のミスマッチは解消できる手段があると確信しました。

「仕事は自分の人生に彩りを加えるパーツの一つ」と語る幟建さん

次のステージに行くために、積み上げてきたキャリアを捨てた瞬間

7年間営業職で、積み上げてきたものがあったし、お給料が良くて仕事はすごく楽しかったです。けれども、いつか結婚して出産することになるのであれば、今の働き方では家庭と両立できないし、自分のキャリアの駒も次に進めたいと思い、自身で仕事をつくっていくフリーランスになろうと思いました。そう思いながらも、ステータスや実績、プライドが捨てられず、なかなか仕事を辞められなかったのですが、捨てられない自分に気づいたときに「つまんない!」と思ってパッと辞めました 。

 

辞めてからの1年間はやりたいことを模索していたので、当時、何となく気になると思っていたことを片っ端から調べ、説明会や学校に行ったり資格を取ったりしました。いろいろと学んでみた結果、やはりキャリア系に行こうと思いました。年齢や実績が強みになること、国や世代を問わない不変的な社会課題であること、コンテンツとしての魅力を感じたのが理由です。

つながりから仕事をつくっていく

退職後、あと1社は経験しておきたいと思っていた時に、リクルートの方から声をかけてもらいました。週3回ほど働きながら学校に通い、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。妊娠後につわりがひどくて休職したのですが、妊娠したら辞めるということを当初から伝えていたのと、フリーランスのキャリアコンサルタントとしてやっていくと決めていたので、2年半ほど勤めた後に退職しました。

 

1人目出産後、前職の上司に声をかけてもらい、企業内のキャリアコンサルタントの仕事をスタートしました。これが個人事業主として会社と契約した初めての仕事でした。関西の担当者が3人いましたが、私以外の2人が指導者レベルの方でした。そのうちの1人からも仕事の紹介があったりして軌道にのっていきました。とはいえ、フルタイムで働く人と比べて現場での実績は全く足りていなかったので、学びだけはずっと続けていました。2人目が生まれた翌年に、キャリアコンサルタント2級技能士を取りました。

 

ベビーカーを押しながら、キャリア系の企業に「何かできますか?」と飛び込みで行ったこともありました。また、知り合いに誘われたセミナーに参加した時に、「ママの働き方」という言葉に「おっ!」と思い、「このような仕事をしています」と主催者の方に話をして、一緒に仕事をするようになったこともあります。自分の力で顕在化させないといけないフリーランスの仕事は、つながりから生まれることが多いと思います。

 

30代は、家事育児と仕事の両立を実現できる働き方をずっと模索し続けていました。「両立の健全なカタチ」を探し求め、さまざまな葛藤があった時期です。親、仕事人という主役級の役割を複数、掛け持つことは簡単ではありません。これは、実際のキャリア相談でも非常に多い相談事例でもあります。

 

シェアオフィスではキャリアコンサルタントで培った経験を生かし、ビジネス相談を受けている

キャリアコンサルタントで培った コミュニケーション能力を生かして起業サポートも

キャリアコンサルタントの一番のメリットは話が聞けることだと思っています。傾聴力が培われるし、対話力が身につきます。問題の本質を見抜いたり、気づいたりできるので、コミュニケーションをする上で役立ちます。

 

今は夫が経営するシェアオフィスでフリーランスや事業者のビジネスサポートもしています。「何かをやりたいんだけど、何からやろうかな」と悩んでいる人に向けて、プログラムを組んでサポートもしています。webページやコンテンツの作り方 、ターゲティング、発信方法、サービスの売り方などの支援です。あえて相談というより、雑談や自然な会話の中で整理ができたり解決策を見つけたりすることが多いです。自分をどう売り込むかというのはキャリアと構造が同じです。物の考え方とコミュニケーションの仕方はキャリアコンサルタントで培ったものがベースになっています。

ASHIYA RESUME salon のイベントでキャリアコンサルタントとして参加者にアドバイスを送る幟建さん(2021年10月)

過去の自分へ伝えたいメッセージ「やっぱりやって良かったね」

「やっぱりやって良かったね」って思います。キャリアの形成は後悔しないように常に納得して選択していく方法が一番後悔しません。私が今までやりがいとかモチベーションを意識したことがないのは、無理やりやらされてないからだと思っています 。自分の頭で考えて自分でやってみると必ず未来につながります。自分で決める、選択するセンスを身につけていくというのは大切だと思います。

 

「チャンスは偶然の中にある」というキャリア理論があります。何もないところに偶然があるわけではなくて、行動する流れの中で、手にしたものやつかんでやってみたものがチャンスになるのです。何か成果のあるものでないと行動するべきではないと思ってしまったり、チャンスにはならないと思ってやらなかったりするのはもったいないです。次のチャンスは一歩踏み出した先に現れるということの積み重ねなので、もし何かに迷われている方がいたとしたら、小さなことでも簡単なことからでも行動することをオススメします。

 

 

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