インタビュー

イベント企画・運営の2年3カ月を振り返り、今思うこと

ASHIYA RESUME ロールモデルインタビュー【特別編】

芦屋を拠点に活動をする女性たちのさまざまな暮らし方や働き方についてお聞きするロールモデルインタビュー。今回は、ひょうご女性未来会議inあしやの実行委員の皆さんに、イベント開催までの2年3カ月を振り返り、企画にかける想いや運営する中で印象的だったこと・その中で気づいたことについてお話いただきいただきました。

実行委員の5名と登壇者の荻野さんとの1枚
左から川津さん、中嶋さん、荻野さん、中島さん、北川さん、佐伯さん

実行委員のメンバー紹介

川津真理(かわつ まり)

株式会社スタジオパバローン代表取締役。いつか世界へ羽ばたくキッズへ「一生もの」の食育を。をコンセプトに子どもたちとパンを作ったり、お料理をしたりする食育スタジオを運営。2022年4月食育を軸とした保育施設、”パバローン保育園”をオープン。

【実行委員での役割】会議の雰囲気を明るくすること

中嶋雅美(なかしま まさみ)

かなしみぽすと代表。法律事務所勤務。仕事と並行して40代で認定心理士の資格を取得後、上智大学グリーフケア研究所に入学。修了後は学んだことを活かし、グリーフ(悲嘆)を抱えた方たちが安心して想いを出せる場づくりを行っている。

【実行委員での役割】議事進行・役割分担の声かけをしたこと

中島彌生(なかじま やよい)

etalagiste代表。専門学校住宅デザイン専科終了後、神戸大丸店宣伝装飾部に所属。その後、36年間Cartier Japanにてディスプレイを担当。退職後2017年にフリーランスのデコレーターとして活動。2020年には珈琲豆袋再生ブランド『ユリ』の立ち上げに携わる。

【実行委員での役割】たしなめること

北川チサ(きたがわ ちさ)

カーサデコラシオン代表。デザイン会社、家具・住宅メーカーでのコーディネーターを経て、インテリアデザイン事務所を立ち上げる。ホテル、モデルルーム、住宅インテリアデザインに携わる。現在は芦屋の自宅サロンで、穏やかで心地よく暮らすためのお手伝いがしたいとの想いでインテリアレッスンを企画開催している。大学で日本の伝統文化を学び中で、日本文化を暮らしに取り入れる講座も企画中。

【実行委員での役割】物事を俯瞰してみること

佐伯文葉(さえき あやは)

ボーモント&ブラウン株式会社代表取締役。外資系企業で技術職を10年余り経験。30代半ばにして、自分らしい人生のために働き方を見つめ直すべく退職。妊娠・出産を経て、現在は高品質ベッドリネン・バスリネンのオンライン販売を行っている。

【実行委員での役割】メンバーの意見をきいて形にすること

 

「ひょうご女性未来会議inあしや」とは?

「ひょうご女性未来会議」は、さまざまな分野で活躍する兵庫の女性たちが一堂に会し、ネットワークを広げ、能力や力を高めあいながら新しいライフスタイルの実現を目指していく女性の集いです。
会員約700名、年2回程度、例会を開き、女性の異業種交流を図りながら、情報発信、 ネットワークづくりなどを行っていて、第40回(令和3年11月)は芦屋市で実施をしました。芦屋市での開催にあたり、ASHIYA RESUMEの参加者をはじめとする有志で集まったメンバーにより実行委員会が結成されました。

 

イベント開催までの2年3カ月の出来事を振り返って

事務局
イベントを企画している中で一番影響が大きかった出来事といえば、新型コロナウィルス感染拡大による延期かと思いますが、当時を振り返っていかがでしょうか?2020年4月頃にオンラインで開催か、1年延期してリアルな会場で開催か議論しましたが…

中島さん
あの頃は、実行委員みんながリアルでやりたいという気持ちは強かったですね。

佐伯さん
リアルではないと意味がないという想いが強く、1年延期するというオプションを選びました。

北川さん
ただ、この2年でさまざまな物事のオンライン化が進んだことは、一番大きい影響がありました。だって当時、私たちZoom会議ですらまだそんな経験してなかったじゃないですか。

佐伯さん
(このイベント企画を通じて)Zoom会議にすごく慣れたというのはありますよね。

川津さん
(1年延期するもなかなかコロナが収まらない状況があり)開催形式は最終的にYouTubeライブ配信に。YouTubeの方が意外に緊張しました。リアル開催の方が緊張しなかったのでは。

中島さん
この(直接集まることが困難になり、オンライン化が進んだ)状況を私たちは前向きに捉えて、自然と行動にうつしていましたね。

中嶋さん
人生の中でそんなに出会うことのない状況下 (コロナ禍)で、私たちはそれをどう捉えて、どう考え、動くのかっていうのがすごく試されたと思うのです。
そこで「もう一旦やめたらええやん」「解散したらええやん」という選択肢だってあったと思うけど、皆がイベント開催に向かっていけたときに「私たちってこういう人たちなんだ」というのはすごく感じたんですよ。いざという時に、自分がどうそこに絡んでいくのかを考えることができて、とても良い経験だったなって思いました。

川津さん
必ずその壁を越えるための打開策を何か考えるのね。諦めなかったね。

YouTubeライブ配信の事前打ち合わせの様子

 

テーマ決定までの流れとイベントを通じて伝えたかったこと

中嶋さん
今回のイベントテーマ「気づきの一年から行動の一年へ」という一文がすごく好きなんですよ。コロナでいろいろ考える機会があり、未来志向で具体的なものを提示できるテーマがしっくりくるのではと感じました。
テーマはこれでいきたいと思ったのですが、なかなか登壇者が決まらなかったでしょう?自分の中ではあの時が一番しんどかったかなと思います。
でも、たまたま新聞記事で三省堂の(辞書「新明解」にてジェンダー視点を取り入れ改訂を実施した)記事を見つけ、それを実行委員の皆さんに共有したことで「これでいこう」と意見がまとまり、一気に動いた感じがしました。

北川さん
企画をしていた時期は、政治家の女性蔑視発言を皮切りに、#Me too運動など、社会の動きがガラッと変わった印象がありましたね。それこそコロナで生活スタイルも変わり、今まで見えていなかった問題があぶり出された感じがありました。

佐伯さん
ジェンダーをテーマに発信する側になって、問題意識がはっきりしている人だけが興味を持つ内容にするのではなく、普段ジェンダーのことを気にしていない人でも自分と一緒だと共感できるような、そういう内容にしたいなと思いました。自然体のジェンダーだけど、すごく生活に即したような、学問の話ではない内容で。

北川さん
テーマも国語辞典も身近なものを題材にしたよね。

中嶋さん
この企画で伝えたかったことは、社会を変えていくのは私たちなんだということですね。今回このプロジェクトのメンバーとして、本当に多様な価値観の人がぶつかることで生まれてくる“何か“を体感したというのがあって。
普段の生活では、自分の周りには、価値観の似た人が集まってくるのが自然じゃないですか。その人達と何かを作り上げるということは経験があるし、それでやってきたことが今のスキルに繋がっている。一方でこれまで違う価値観をぶつけあって、そして何かを生み出すなんていうことは経験したことがありませんでした。でもそれやらないと社会は変わらないんだなと思いました。自分に似た人、自分にYESを言ってくれる人だけと関わっているだけでは変わらないこともあるのだと感じました。

川津さん
様々な価値観の人が集まり、それぞれの意見に耳を傾けて一緒に社会を変えていくということが、これからとても大切になってくるのではと思います。

イベントの題材として紹介した三省堂の国語辞典「新明解」

 

イベントを終えて想うこと

北川さん
イベントが終わった後、知り合いの方から連絡がきたんです。「主人」という言葉を何気なく使っていたが、改めてその言葉の捉え方が様々あるのだと意識するきっかけになったと。周りの知人にも伝えたいとおっしゃってくださったことがとても嬉しかったです。もっともっと知ってほしいと思いました。

中島さん
最近仕事でお会いした60代の男性が、「言葉とジェンダーの関係性は考えたこともなかったし男性の目線で見て、とても勉強になった」と言っていました。女性の友人も結構見てくれていて、座談会と辞書の話はすごくよかったと言ってくれることが多いです。イベントは手作り感満載だけど、私たち関係者以外の方たちに(ジェンダーや普段の言葉づかいについて)気づいてもらえるきっかけになっている様子で、達成感を感じています。

イベント終了後の視聴者の反応や達成感について語る、実行委員の皆さん

 

イベント運営する上で印象的だったことや気づいたこと

北川さん
本当に開催間際のここ数ヶ月でぐっとチームワーク良くなったと思います。閉会の挨拶でも申し上げましたが、個々が自身の意見をもっており誰も妥協しない人たちなので、こだわるポイントが違いましたね。

中島さん
イベント開催まであと数か月という時期には、1日置きくらいにZoomをやっていましたね。早寝の私にとっては、夜のミーティングは堪えて、結構ヘロヘロでした。会社員時代より残業していたかも。
「適材適所」と私はイベント企画の後半に差し掛かった時によく言っていました。時には、メンバーに対して辛辣なことを言ったけど、今は普通に腹割って話せる間柄になりました。それぞれのいいところもちゃんと見ているし、「あなたなら絶対出来るから任せた」と言い合える仲になれたなと。
大人になっても、このようなイベント企画の経験を経て、それぞれの個性を見られたということは良かったなと思っています。

佐伯さん
実行委員メンバーが一つになった象徴的なこととして記憶に残っているのは、手話の導入についてです。当初メンバー内では(手話導入をするには専門性が高く金銭的・時間的な制限があったことから)諦めるべきではという意見が多数を占める中、まさみ(中嶋)さんだけは必要だという意見を曲げませんでした。全員で必要性について協議をした結果、最後は何としても手話をつけようとなりましたよね。意見が違ったとしてもお互いにしっかりと向き合えば、理解できる・自分の思いが変わるということは、大きな気付きでありました。

中島さん
自分の意見が言えるということは大切なことですよね。

佐伯さん
自分と異なる意見も、なぜその意見になるのかを聞いてみると、自分が考えもしなかった理由や新たな視点に気づく機会になったりするからね。いいものを作るためにも意見を伝えあうということは大切だと思いました。

川津さん
でもやっぱり自分に余裕・ゆとりがないと「そういう意見もあるよね」とは受け入れられないもの。余裕がないと、自分の殻に閉じこもってしまっているような感じがします。

中嶋さん
実行委員のメンバーは、最初からあの人の言うことは無理という感じではなく、違うかもしれないけど、とりあえず聞いてみようという空気があったから、異なる意見も取り入れてもらうことができたのだと思う。

北川さん
(グループの構成として)このメンバーにはリーダーのような存在はなく、全員がディレクターだったと思います。

佐伯さん
トップダウンの組織の中で意見を決めてしまえば、なんでも早く決まるけど、それには限界があると感じます。
並列の立場でみんなが責任を持って、意見を言い合って、みんながそれぞれの意見を聞く耳をちゃんと持てるのであれば、それが一番いい形だなと思います。この形では、途中で喧嘩して終わる可能性もあるのではないかと思うこともありましたが、リーダーがいなくても意見を決めることができました。互いにリスペクトしあっていたからなのだと思います。

北川さん
今回その関係が、イベント内で滲み出ていたのではないでしょうか?

実行委員のメンバー全員で手話の練習をする様子

 

過去の私へ届けたいメッセージ

最後に今回のプロジェクト参加以前の自分へのメッセージを実行委員の皆さんに書いていただきました。

 

 

 

ひょうご女性未来会議inあしや「気づきの1年から行動の1年」のアーカイブ動画

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