インタビュー

夢の第一歩を踏み出せる舞台|レンタルキッチンSTAGE

ASHIYA RESUME 施設紹介インタビュー

芦屋を拠点に女性たちのやりたい働き方や暮らし方が実現できるよう、一緒に考え応援してくれる施設をご紹介するインタビュー。

今回は、芦屋のレンタルキッチンSTAGEを運営する大橋さんに、レンタルキッチンをオープンするに至った経緯や想いについてお話しいただきました。

インタビュー実施日|2023年2月

 

ご紹介

 

阪急芦屋川駅から歩いてすぐ、芦屋山手サンモール商店街にあるレンタルキッチンSTAGE。芦屋の地で創業40年になる魚屋「魚利」の二代目大将大橋進さんが、コロナ禍で職を失った人々の声から2021年6月にオープンしました。高校卒業後、和食の職人を目指してホテルの厨房に就職した大橋さんですが、父親の体調の関係で23歳の時に地元芦屋に戻り魚利の二代目となりました。木曜日と土曜日には大橋さんご自身もSTAGEで「tudoi」として飲食店を営業。芦屋の街をもっと盛り上げたいとの想いから、地域の繋がりや人との繋がりを大切にした場所として『STAGE』を運営しています。

 

夢の第一歩を踏み出せる場所『STAGE』

 

二代目として魚利を継いだ約30年ほど前、昼間は魚屋をやりつつその隣で夜は余った魚を使った料理の提供ができる飲食店ができたらいいなと思い描いていました。

 

しかし当時のわたしはまだ若く、経営のノウハウや開業に必要な資金計画などの知識がなかったので、なかなか実現するまでに時間がかかりました。6年ほど前に芦屋市商工会で経営に関することを一から学び、一緒に計画案を立て直して長年の夢が実現へと近づきました。

 

だけど、実際に本業の魚屋をやりながら飲食店も営業するとなると、毎日するのは体力的に厳しいなと感じていました。そんな時に、新型コロナウイルスの流行の影響で「職を失った」「オープン予定だった店を出せなくなった」という声を耳にし、それならこの場所を使ってもらおうと、レンタルキッチンとして『STAGE』をオープンすることに至りました。

 

もともと自分で飲食店を営業しようと改装工事をしたので厨房機器や調理器具、食器も全て揃っています。この場所をレンタルしたらそのまますぐに商売ができるような状態です。内装は芦屋でリノベーション会社を営んでいる女性設計士の方にお願いして、内容からインテリアまでコーディネートしてもらい、落ち着いた空間に仕上げてもらいました。結構広さがあるのでテーブル席はもちろん、ひとりでの営業を考えている方でも利用しやすいように、カウンター席を採用しています。

 

『STAGE』の名前の由来は「わたしがステージを用意したので、皆さんの舞台をここで作り上げて欲しい。」そんな思いで付けました。

 

古民家をリノベーションしたレトロな外観が思わず目を引く

飲食店だけじゃない!多種多様な活動ができる場所

 

オープン当初は調理師としての経験や資格を持っていて、独立を考えている人が自分のお店を持つための第一歩の場所として利用する方が多いのではと想定していましたが、実際にオープンしてみると予想外にも主婦の方の利用が多いことに驚きました。

 

独学で資格を取得した方や子育てが落ち着いたので自分の夢を叶えたいという方など、喫茶店や紅茶のお店、クレープ屋さんや白あんでお花を作るアンフラワーのお店といった珍しいお店まで、さまざまなお店がここで営業されています。また飲食店としてだけではなく、音楽家の方が演奏を楽しみながら紅茶を味わえるライブハウスのような使い方をされていたり、物販と飲食でコラボして営業されたり、皆さん柔軟に色んな使い方をされています。

 

近隣の他のレンタルキッチンは、午前と午後での時間貸しや曜日固定でのレンタルが一般的ですが、『STAGE』は時間単位でのレンタル料金なので、「この時間だけ利用したい」という方に好評です。後ろの時間が空いていれば延長して柔軟に利用できるようにしているので、そういった点でも時間が限られる主婦の方にマッチしたのではと感じています。

 

店内のショーケースもレンタルできるようになっているので物販も可能です。2階はもともと宴会席か展示場にしようと考えていたのですが、ご自身で食器や調理器具を持ち込む方が毎回搬入をするのが大変との声があったので、急遽一畳貸しのレンタルスペースに変更しました。利用者の方の声を色々とサービスにも反映させています。

 

シェルフレンタルでは物販も可能

夢を追う人の後押しとなる場所を目指して

 

本来わたしはこの場所を貸している言わば大家の立場なので、皆さんの商売に深く関わる必要はありませんし、第三者なので無責任に関わることもできないと思っています。

 

だけど、わたしの性格上どうしても皆さんの商売が気になってしまうので、どんなことをしているのか様子を伺っているうちに、色々お話を聞かせてもらうことが多くなりました。「実はこんな夢があって」と話す方もいれば「集客で悩んでいて」と悩みをこぼされる方も。

 

わたしにとって『STAGE』は成功例ですが、他の人にとっては成功例ではないと思うかもしれない。何をもって成功とするかは人それぞれだと思うので、そこでわたしが何かアドバイスをするというわけではなく、とにかく話を聞くことに徹するようにしています。皆さんのお話を聞くぐらいしかできないので。

 

その代わりに、利用者の方同士で交流や情報交換ができる利用者の会を一度開催してみました。参加した皆さんはその会でご自身の課題や目標を再確認し、SNSでの発信や集客方法などお互いにアドバイスを出し合っていて、参加者の皆さんはもちろん、わたし自身もとても勉強になったので開催して良かったなと思います。

 

今年の4月頃から本気で自分のお店を出したいと考えている人を応援するための新たな試みも考えているので、皆さんの挑戦をもっと後押ししていければなと考えています。

 

ひとり営業でも使いやすいカウンター席、厨房機器も全て使用可能
照明からアンティークの椅子まで全てこだわった落ち着きのある空間

 

『STAGE』を原点に芦屋の街にもっと活気を

 

皆さん、色んな夢や想いを持って来られる方ばかりです。『STAGE』を利用される方には、必ず事前面談を行っていますが、一番最初にやりたいことはなにか、どこへ向かっているのかをお伺いするようにしています。上手くいくのか不安に感じている方も、『STAGE』は挑戦できる場所なので背中を押して応援します。

 

わたしは、利用者の方にここでずっと店を続けてほしいとは思っていません。ずっとこの場所で商売を続けるのではなくて、いつかは『STAGE』を旅立って欲しいと思っています。商品なのかお店なのかはわからないですが、『STAGE』を原点に流行りや新しいお店が誕生したら嬉しいです。できれば芦屋山手サンモール商店街の空きテナントや芦屋の街にお店を持ってもらって、芦屋の街をもっと活性化してくれたらいいなと思っています。

 

木曜日のランチと土曜日の朝食の「tudoi」は、わたしが営業しています。料理人を目指していた頃の「いつか自分の店を持ちたい」という夢が、わたし自身もこの『STAGE』で叶いました。
なので、次は他の誰かの夢を叶える手助けができる場所にしていきたいです。

レンタルキッチンSTAGE|https://www.ashiya-stage.com/

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