インタビュー

子育て中ママの「最初の1歩」のお手伝いから、大好きな地域に恩返しを|浜町テラス代表 本行典子さん

ASHIYA RESUME 「場をつくる人」インタビュー
芦屋を拠点に、様々な人とつながりながら「場」をつくり、運営する女性たちのインタビュー。
今回は、浜町でレンタルスペースを運営する浜町テラス代表本行典子さんに、設立の経緯やこの地に対する思いについてお話しいただきました。
インタビュー実施日|2024年1月

 

ご紹介

阪神打出駅から南へ徒歩約5分。幹線道路沿いのひときわ目を引くガラス張りの建物が、浜町テラスです。1階には2020年のオープン以来、早くも「おいしいケーキ屋さん」として評判の洋菓子店、ケイクナチュールが入居。2階と3階は主に地域の女性が活躍するきっかけに、と始めたレンタルスペースとして運営されています。代表の本行典子(ほんぎょうのりこ)さんは、芦屋生まれ芦屋育ち。現在は自宅のある神奈川県と芦屋を行き来する2拠点生活を送りながら、生まれ育った地域への恩返しと地元ママを応援する気持ちを込めて、浜町テラスの運営をされています。

生まれ育った地域への恩返しを妄想する日々

私は芦屋で生まれ育ちましたが、結婚後芦屋を離れ、今も自宅は川崎市にあります。以前から、「もし関西に戻ることがあったら、育ててくれた地域への恩返しがしたい」と思っていました。長く芦屋を離れているので、今さらながら地域の方とも再度つながりを持てるようなことをしていきたい、と妄想していたんです。

妄想から構想へ

ぼんやりした妄想が、具体化し始めたのは10年ほど前。当時たくさんのフリーランス女性と知り合う機会がありました。資格や特技を生かして講師として活躍している女性たちを見て、ふと「関西ではどうなっているんだろう?」と思ったのがきっかけです。首都圏では、コロナ禍以前からそこかしこに「コワーキングスペース」「レンタルスペース」があり、フリーランスとしての最初の1歩を踏み出す環境が整っていました。芦屋の住環境や教育環境の良さなどは実感していましたが、そういえば子育て中のママたちはどこにいるの?くつろげる場所はあるの?という疑問や物足りなさも感じていたんです。フリーランスで生き生きと活躍する首都圏の女性たちの姿を見て「芦屋でも女性向けのワーキングスペースを作れたら」と妄想が具体的な構想へと変化しました。

タイミングがぴったりはまり、オープンへ

ちょうどそのタイミングでご縁があり、実家近くの廃業された店舗の跡地を取得することができました。でも私はビジネスについては超のつく初心者。右も左もわからない中「まずは話を聞いてみよう」と思い立ち、いきなり芦屋市商工会に電話をかけたんです(笑)。川崎市民からのアポなし電話にはさぞ驚かれたことと思いますが、丁寧に応対していただけてうれしかったです。後日助成金の支給も決定し、資金面でも見通しが立ちました。あとは建物を建てるだけ、と言う段階に。そこで勤務先である大学の、建築学科の大学院生に声をかけてみたところ、「私たちもそのプロジェクトに参加したい!」と手を挙げてくれたんです。彼らとならいつでも話ができますし、実績にもなる。もちろん学業と並行して関わってくれるわけですから、プロにお願いするよりむしろ時間がかかりますが、それも現地から離れて暮らす私にはちょうどよかったんですね。すべての条件がぴったりマッチしたので、彼らと組んでプロジェクトを進めることにしました。オープンまでの間何度も芦屋まで足を運び、自発的に近隣住民とのワークショップやセッションを開催する姿を見ていると、「地域に根差した建物でありたい」という私の思いを汲み取ってくれているな、とうれしくなりました。

2019年11月オープン

2019年11月に建物が完成しました。大きな窓から自然光がたっぷり入る暖かい空間、大人でも上るとワクワクするらせん階段や、人の気配を感じられる吹き抜けなど、建物にいながらも外の空気を感じられる、開放感あふれる造りに仕上がりました。

開放感がありながらも地域に溶け込んだ外観
夜は地域のランドマークとしても

オープン当初は地域のみなさまに開放し、建物を知っていただくことからスタート。ほどなくコロナ禍で私自身も帰省できなくなり、お客様の内見などもオンラインにせざるを得なくなりました。しかしいざやってみると意外にオンラインでできることも多く、皮肉にも2拠点での自信がつきました。またここには開放できる大きな窓やベランダもあるため「3密」になることもなく、近隣の方に「小さく集まれる場所」としても利用いただいたことも。理想のとおり「地域に根差した」スタートとなりました。

らせん階段からの眺めも最高

地域待望のお店とともに

2020年4月、1階に洋菓子店ケイクナチュールさんが開店。待望のケーキ屋さんのオープンに、地元民として素直にうれしかったです。オープン前には地域の方に向けた試食会も開催してくださるなど、「地域と一緒に」という理念を共有していただいています。
机と椅子がある2階は、リモート講義用の発信スペースやオフィススペースとしての利用、フラワーアレンジメントなどハンドメイドの教室としても利用いただいています。

あえてシンプルな空間にこだわった3階は、ヨガやベビーマッサージ、ネイルサロンとして活用してくださった方も。お申し込みをいただくたびに、地域にこんなにも才能に溢れた方がいらっしゃるんだ、と感動する毎日です。

自然光に癒されながらのヨガ教室の様子
ママもくつろげるベビーマッサージ教室も好評

私が2拠点生活をしていることもあり、2階、3階のスペースはケイクナチュールさんのオープン時間に準拠しています。わざわざ外出しなくても、おいしいケーキやドリンクをすぐに味わっていただけるのも、浜町テラスならではのメリットですね。利用者の中には「お茶&お菓子付き」の講座を開講される方もいらっしゃいます。

焼き菓子も絶品!

今後も「はじめの1歩」をサポートしながら自主企画も増やしていきたい

浜町テラスがオープンして3年。ここをきっかけにネイルサロンをオープンされた方や、もっと大きな規模でビジネスを始めた方、海外に拠点を移された方など、たくさんの方が羽ばたいていかれました。これからも地域への恩返しの気持ちで、フリーランスや子育て中ママの「はじめの1歩」を後押ししていきたいと思っています。今年は念願だった、自分も楽しみながら学べる主催講座もスタート。今後も徐々に増やしていけたら、と思っています。

大好きな美術史を学ぶ主催講座もスタートしました

過去の自分へのメッセージ

石橋は叩いていると1歩も進めません。進みながら、ないものは調達しつつ前に進む、という気持ちでやってきました。過去の私には、完璧じゃなくても何とかなるよ、と伝えたいですね。

 

 

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