インタビュー

「アートと食を通じて 人と人が優しく繋がれる場所を作り 未来へ渡していきたい」│REMAH(レマ)さん

芦屋を拠点に活動をする女性たちのさまざまな暮らし方や働き方についてお聞きするロールモデルインタビュー。

2021年9月に芦屋市翠ケ丘町でオープンしたアーティストたちが運営する自然派デリ&セレクトショップ「MAINDISH DELICATESSEN(メインディッシュ デリカテッセン)」の代表であり、ご自身もプロのアーティストとして活動されているREMAH(レマ)さんに、コロナ禍での店舗立ち上げへの想いや、みんなが豊かで幸せになる場所を作るという夢の実現についてお話しいただきました。

インタビュー実施日|2023年11月

REMAHさん|アーティスト・クリエイター・「MAINDISH DELICATESSEN」オーナー

 

ご紹介

海外・国内でのアーティスト活動を経て、芸能の世界から一旦離れ、生まれ育った芦屋へ拠点を移したREMAHさん。トータルプロデュースしたレストランを舞台とするエンターテイメントショー「MAINDISH(メインディッシュ)」をリアルに体現する実店舗「MAINDISH DELICATESSEN」をオープンしました。クラウドファンディングで支援を募り、コロナ禍で表現の場を失ったアーティストたちの支援と地域交流の場を作りたいという趣旨に、多くの賛同が集まりました。「食」を通じてアーティストと地域をつなぎ、地域の社会問題を身近なところから解決できればと、一歩ずつ歩みを進めています。

 

コロナ禍で遮断されたアートと人の共存を考えた

アーティスト一筋で生きてきた私が、お店を立ち上げようと思ったのはコロナ禍という逆境に直面したことがきっかけです。

出産後、子育てに専念していた時期もありましたが、活動を再開したり、小さなお店を始めたりと少しずつ動き出した最中でのコロナ禍でした。人を勇気づけ、心に触れることができるアートの世界が、一番に社会から遮断されてしまいました。どうしたらまた人とアートが繋がれるかを考え、衣食住の場にアーティストが関われたら、ステージがなくても生活の中にアートを届けられるのではないか、加えてアーティストが実演業・ステージで収益を安定させられるようになるまで、応援出来る仕組みが作れたらと思いました。

「MAINDISH DELICATESSEN」のオープンに向けたクラウドファンディングプロジェクトページ

 

心の声・身体の声に向き合って行き着いたのが「食」

振り返ると、食に対する意識が育まれはじめたのは海外で活動していたころからです。ある年代を境に先輩アーティストたちが身体を壊して倒れていく姿を目の当たりにしました。“運動不足”や“体力”が原因とは考えにくく、やはり身体を作る「食事」が大事なのではないかと考えました。私自身は事故で大けがをしたこともあり、身体を整えるために食べ物には気を遣うようになっていたことと、よいと勧められた事を実践したところみるみる身体が元気になり、メンタル面が安定していったことに感動し、食事の大切さを実感したのが大きいです。

 

育った環境が私の根底にある「すべて人ありき」

お店のスタッフとその家族はみんな仲間

実家は商売をしていて、いつも人の出入りがあり、様々な人たちと日常的に関わり合って生活していました。たくさんの大人の愛情を感じながら伸び伸びと過ごした記憶が、今も私の根底にあると感じています。

芸能の世界は華やかで楽しい場所でしたが、完全に「個」が優先され競い合いが生まれます。それがどうしようもなく息苦しくなってしまい、一度リセットしようと東京から芦屋に戻ってきたのが7年前です。周りを見渡すと、表現の場を失ったアーティストだけでなく、核家族や高齢化問題、孤育て・介護疲れなど、個人では解決できない問題が身近にたくさんあることに気が付きました。

私は地域のコミュニティの中で育ててもらったので、もらった愛を循環させるように、自分の子どもも同じように育てたいな、みんなが助け合い、与え合える家族みたいな場所を作りたいなと思うようになりました。

 

ワクワクが不安に勝ると行動するエネルギーになる

この場所を見た時、 翠ケ丘町のこの場所に、地域のたくさんの人が集っているビジュアルイメージが見えました。「これが実現したら絶対楽しい!みんなが幸せになる場所になる!」と、ワクワクが止まらなくなりました。私の中で完成形が見えていたので、舞台演出と同じように、すべきことを逆算して動き出すだけでした。不安がなかったわけではありません。挑戦には“不安”と“ワクワク”は同時に起こります。でも素敵な未来が見えてしまったら、楽しさが不安に勝って、どんどんエネルギーが湧いてきてしまうのは、やはりアーティストだからでしょうか。人との出会いやご縁に恵まれて、一気に動き出しました。

 

子どもが生まれて見える世界が変わった そんな私に「いいね!」

店舗内でも自然にお子さんと一緒の時間を過ごすREMAHさん

私にとって「お母さん」「妻」「自分」の3役のバランスが良いと色々なことが上手くいくと感じており、オーナー兼アーティストとして、やりたいこと・やるべきことが増える一方で、選び取る力がどんどん研ぎ澄まされ、今では選択と決断に迷わなくなりました。これは今年5歳になる子どもの存在が大きいです。「子どもとの時間を削ってまですべきことなのか?」と、いつも自分に問いかけています。スープを丁寧に作ったり、お腹すいた!と言った時にすぐおにぎりを作ってあげられる時間と距離感が私にとって一番大切で愛おしいです。自分にとって幸せかどうかに軸を置いていたら、お母さんビジネスマンとしての選択にも「いいね!私ママになってる!成長してるじゃん!」って素直に思えますし、仲間のアーティストやママさんたちにも同じように自分にとっての幸せを一番に考えてもらい、その中でお互い上手く助け合えたらいいよねと、話しています。

過去の自分へ伝えたいメッセージ ワクワクを力に「飛び出してごらん」

これまで数々の挑戦をしてきましたが、挑戦しようとしている過去の私へ伝えたいメッセージは、いつも「飛び出してごらん!」です。

挑戦に限らず、生きていればいいことも悪いことも絶対にあります。でも自分の捉え方次第だと思っています。失敗だと思うから失敗になる。むしろ失敗を恥ずかしいと思う自分でいたくないので、失敗は成長するチャンスだと考えるようにしています。

一番大切なのは「心からワクワクしていること」。ワクワクという感情は、「やってみよう!」と行動する原動力になります。迷った時、私はいつもワクワクする方を選び取ってきているから前に進めているような気がします。困難な状況があってもシェアできる仲間の存在も、マイナスをポジティブに変える力になっています。

最後に

この2年間はとにかく突っ走ってきました。誰もが大変な時期に、クラウドファンディングでたくさんの方々に支援していただいたので、一方的に食事を提供する飲食店というよりは、地域のホットステーションとしての役割を、このお店で表現できたらいいなとやってきました。思い切って飛び込んでやってみたからこそ、たくさんの人に支えられて、それがこの2年間で少しずつ実ってきている気がします。

仕事終わりに立ち寄ったというお客様と談笑するREMAHさん

次の挑戦は、地域のコミュニティの現場から、個人や家族の力だけでは解決出来ない地域の社会問題を解決していくことを、この場所から始められればと考えています。

私の小さな行動の一つが誰かの幸せにつながればと願いながら、一歩ずつ進んでいきたいと思います。

 


■MAINDISH DELICATESSEN(メインディッシュ デリカテッセン)

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■REMAHさん公式サイト

 REMAH official HP

■日本中に自然食を届けたい!アーティスト達がデリバリーするデリカテッセン!

 クラウドファンディングのサイト※2021年5月終了

 

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