インタビュー

「今は子どもとの時間も大切にしつつ、今後のキャリアに生かしていきたい」 JCRファーマ株式会社 田中里和さん

芦屋を拠点に活躍するさまざまな女性たちの言葉をお届けしているロールモデルインタビュー。
今回は芦屋市の製薬会社、JCRファーマ株式会社で正社員として勤務されている田中里和(たなかさとわ)さんに、産休育休を経て復職した経緯や、現在も時短勤務、フレックス制度、在宅勤務制度を利用しながら家庭と両立して働くことについて、お話しいただきました。
インタビュー実施日|2023年11月

ご紹介

田中里和さんは、芦屋市に本社を置く製薬会社、JCRファーマ株式会社で勤務されています。現在の所属は安全管理部安全情報室。主に同社が製造販売する薬の安全性のデータを集め、評価や分析を行う業務を担当されています。実は現職のキャリアはまだ10か月(取材時現在)。新卒で研究職として入社され、研究所で毎日実験に明け暮れていた生活から一転、育休復帰後は1日中パソコンとにらめっこ、という現職へ異動されました。キャリアチェンジの経緯や、現在2歳のお子さんを育てながらの仕事との両立について、お話を伺いました。

学生時代の専攻を活かし、新卒で研究職として入社

大学で学んだ、細胞学の知識などを活かす職場で働きたいと思い、新卒での就職活動を開始しました。そんな中当社と縁があり、2016年に研究本部に研究職として入社しました。研究所では充実した毎日を過ごしていましたが、動物や細胞を扱う仕事柄現場作業が多く、毎日の出社が基本の職場環境でした。

そこで結婚、妊娠をきっかけに、今後のキャリアを改めて見つめ直すことに。当社は育休後復帰される先輩も周囲に多く、働きやすい制度も整っていたため、復帰することに迷いはありませんでした。

研究所時代の作業風景

産休育休を機に、キャリアチェンジ

2020年に結婚。2021年に第1子を妊娠・出産しました。子どもが小さいうちは、慣れない育児と仕事の両立で今までのように働けるか不安でした。復帰と同時に、運よく自宅から自転車で10分の事業所に異動が決まり、会社の制度(時短勤務やフレックス制度)を活用しながら仕事を続けることができています。産休育休は、私にとって新たなチャレンジができる良い機会ととらえ、不安もありましたがキャリアチェンジを楽しもうと思いました。
異動先が決まり、真っ先に取り掛かったのは復帰後の娘の預け先探し、いわゆる「保活」でした。子どもが12月生まれということもあり、年度途中の保育園探しは難航しました。子どもの預け先が見つからない場合、育休の延長という選択肢もありましたが、運良く会社近くの園に空きがあり、産休から1年後の2022年12月に復帰しました。

はじめてのデスクワークは不安いっぱい

復帰が近づくにつれ、ずっと研究職だった私にデスクワークが務まるか?という不安がわきあがってきました。私は社歴こそ今年で7年になりますが、入社以来、業務は実験がメイン。そのため1日のほとんどがパソコン作業という職場は想像できませんでした。そして復帰後、最初に苦労したのは電話応対です。研究所では外線固定電話に対応する機会がほとんどなかったので、代表として外線を取るのは実は今回が初めてだったんです(笑)。社会人なら当たり前のようにできるはずの、社名を名乗り、メモを取り、保留して、担当者につなぐ、という一連の作業も、最初はものすごく緊張しました。また書類1つ作成するにも、最初は周囲の方の手を借りなければならず、自己嫌悪に陥ることもありました。しかし周りには私と同様、育休復帰後に異動されてきた先輩も何人かいらっしゃるため、みなさん温かく見守ってくださっていて、ありがたいです。いまだに業務を教えていただくことは多々ありますが、早くみなさんの手を煩わすことなく、スムーズに業務を遂行できるようになりたいです。

仕事と家庭のバランスを取りながら勤務できる環境に感謝

また噂に聞いていた通り、保育園からの呼び出しや子どもの発熱で、急な休みや早退することも多々あります。過去には数えるほどしか出勤できなかった月も。出社必須の研究所勤務であれば、代わりを見つけるのは大変なところでした。しかし現職では急遽在宅勤務に切り替えることもでき、子どもを見ながら仕事もできるので、気持ちの上でも安心です。また、通勤時間が短いので、フレックス制度を活用し、子どもを朝病院に連れて行き、保育園に送ってから1時間遅く出社ということも可能です。先日も保育園の参観日が平日にありましたが、業務を調整して参加できました。他の方々も、それぞれ家庭の事情に合わせて上手に勤務を調整されている印象です。社内には同じくらいのタイミングで育休から復帰された同僚も在籍しており、「ママ友」として情報交換できることも心強いですね。

図らずも薬の誕生から市販までを見届けられる立場に

復帰前には想像していなかったことでしたが、当社が製造販売する薬のデータが集まってくる現職では、研究段階で私が携わっていた薬を目にすることもあります。「あ、あの時の薬、ヒトに投与されたんだ」と親戚の子どもに再会するような、なんともうれしい気持になることも。研究所時代を懐かしく思い出すこともあります。復帰前は大きなキャリアチェンジを前に不安でいっぱいでしたが、異動したことで全く知らなかった仕事を知ることができました。そして今年竣工したばかりでカフェテリアまであるピカピカのオフィスで働く、という貴重な経験もできました(笑)。今は子どもとの時間も大切にしつつ、今後のキャリアも充実させていきたいと思っています。

過去の私へのメッセージ「新しいキャリアも悪くないよ!!」

産休に入る前、不安いっぱいの私に送るとしたら、「新しいキャリアも悪くないよ!」という言葉です。キャリアチェンジにより、新しい知識や学びも多く、充実しています。電話も取れるようになりましたしね(笑)。何より現職では研究職では知ることはなかった、上市後の薬のデータにまでに関わることができます。実際のユーザーからの意見や安全性のデータなどは勉強になることばかり。産休前の私には「安心していいよ」と伝えてあげたいですね。

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